roseに口づけを

愛島セシルに愛を捧ぐウェブログ

ラーゼフォン(TV版)感想文

今年の3月に無料で一気観できるチャンスがあったので視聴しました。
面白かったので感想を書きたくなったのですが、上手くまとまらなくて書くのを諦めていました。
しかし5ヶ月経つ間にもラーゼフォンについて考えることが多々ありました。
モヤモヤしていてるうち9月になりそうなので、まとまらなくても良いことにして感想を書きました。

sp.b-ch.com

視聴のきっかけ

私がラーゼフォンに興味を持った経緯を遡りますと、中学の同級生がきっかけになると思います。
彼女はDGSというラジオ番組のファンで声優さんに詳しく、下野紘さんのファンでもありました。
会話の流れで下野紘はどんな声優なのかと聞いたら、「すごい鳩胸」と言われたことを覚えています。

出演作品の話はあまり聞けなかったのですが、ロボットアニメで主役をしていたような話をしていた覚えがあります。
だから私はその情報を頼りにして、自分で調べることにしたんだったと思います。
インターネット検索の結果、「ラーゼフォンというアニメの主役である」ということと「ラーゼフォン下野紘は棒読み」という情報を得ました。
しかしそこまで調べて満足したので、ラーゼフォンを実際に観ることはありませんでした。

その後、「トラウマになるアニメ」という話題でラーゼフォン19話の噂話をインターネットで読んだりしながらも、
それが「下野紘さんが主役を務めたラーゼフォン」だとは気が付きませんでした。
その一方でラーゼフォン下野紘さんの代表作らしいという情報は覚えていたのだから、不思議なものです。
同じ物をさしているのに結びついていないような状態でした。

今年観ようと思ったのは、GYAO!のサイトを見ていた時にラーゼフォンの無料配信を見つけたからでした。
……気が向いたからでした。
しかし私がラーゼフォンという題名を覚えたのは下野紘さんのおかげなので、ラーゼフォンを観ることができたのも最終的には下野紘さんのおかげだと思います。
どうもありがとうございます。


ネットで話題になる要素の感想

ラーゼフォンについて検索すると、インターネットでは主に

といった部分がネガティブな意味で話題になりやすいようです。

一つ目のエヴァンゲリオンライディーンとの類似点に関しては、私は観たことがないので分かりません。
でも「元作品を観れば済む」とは言われていないようなので、ラーゼフォンは一定以上のオリジナリティーがある作品なのではないかと思います。
仮にエヴァンゲリオンライディーンのパクリだったとしても、
パクリだからという理由でラーゼフォンを否定することは私にはできません。
何故なら、私はラーゼフォンという作品が好きだからです。

私はエヴァンゲリオンライディーンを観たことがないので、この件についてはこれ以上言及できません。

二つ目は、ネタバレを文字だけで見た時よりも実際にアニメを通して観た方がショッキングな内容に感じられましたが、演出が凝っていて面白かったです。
しかし、ネタバレをしている人達が言っていたほど重要な話とは言えない気もしました。

19話はずっと浩子側の視点で進むため、綾人にとっての彼女がどんな存在かはっきりしませんでした。
よって2人の関係はタイトル通りフレンドでしかないまま終わってしまい、最終話に至る為の成長段階の一つになった話だと私は感じました。
19話はライディーンのオマージュ要素が非常に強い話らしいので、ライディーンを知る人が観ると違う見方になるのかもしれません。
anime.dmkt-sp.jp

三つ目に関しては、衝撃的な棒読みと言うほどではなかったので、私は普通に視聴できました。
神名綾人下野紘さんだということを意識しないで観ることができました。
ただ、普段のテンションとちょっとホラーな場面での叫び声との差が激しくてちょっと驚きました。
本物の悲鳴みたいで怖かったです。

私が個人的に良いと思ったところは、滑舌が良くて単語の聞き取りが容易なところでした。
ラーゼフォンは難解な単語が頻出するため、聞き取れるように発音できるということは美点であると思います。


本編の感想

(↓ 第1話を丸ごと無料で視聴できます。)
sp.b-ch.com

ネタバレ無しの感想

アニメのストーリーはざっくり言うと「侵略者MUと地球連合TERRAの戦いに運命を翻弄された男女のラブストーリー」みたいな感じだと思います。

作中に羽の壁画の前に人間が立っている構図がよく出てきたので、登場人物がインスタ映えしてる〜と思って面白かったです。
2002年放送のアニメなのに時代を先取りしまくりでした。

※追記 インスタ映えする羽の絵
(インスタでこういう写真を撮るのが流行っていました)

先取りと言えば、このアニメにはマヤ暦を基にした2012年の人類滅亡説を取り入れている部分がありました。
リアルタイムで観ていれば、2012年を迎える頃にラーゼフォンを思い出して、より一層楽しめたかもしれません。
でも物には時節があると言うし、放送当時に観ていても意味がわからなくて面白くなかったと思います。
なので私がラーゼフォンを観るタイミングは今年しかなかったのだと思うことにします。

それに、2012年より後に観たおかげで歴史の教科書を読む時みたいな気分で楽しめました。
これはこれで楽しかったので良しとします。


また、分類上はロボットアニメのようですが、バトルシーンは殴る蹴るが主体でやや単調な気がしてしまいました。
ロボットバトル目当てで視聴するとあまり期待に添えないだろうと思います。
武器もいくつかあるけど、最終的にラー!って歌うのが一番強かったです。
(戦うのが目的の技ではないようなので強いという表現は正しくないかもしれません。)
デザインは、頭についてる翼の飾りが見る者に神秘的な印象を与えるだけでなく、空を飛べる機能が備わっているところが良いと思います。
無駄がなくて素晴らしいです。

ネタバレありの感想

今回はウィキペディア等のネタバレを見ないというルールを設けて視聴しました。
1話目からムーやラーといった用語が頻出し、誰も説明してくれない(というか主人公が人の話を聞かない)ため意味がわからなくなりましたが、メモを取りながらノーヒントで頑張ってみました。
1〜3話はプロローグみたいな感じでした。
正体を明かされるまで侵略者(インベーダー)が何を指しているのか分からなかったので、インベーダーゲームの影響を少なからず受けていることを自覚しました。

4話目からは本格的に物語が動き出します。
初めに遙のナレーションでストーリーのおさらいをしてくれるので、3話目までのストーリーを理解できていなくてもだいたいの世界観を掴めるようになっています。

(ちょっと聞き間違いあるかもしれないけどナレーション部分を書き残したので載せます。)

異次元からの侵入者 MU(ムー)により、世界から隔絶された東京。
17歳の少年 神名綾人 は突如襲撃した謎の攻撃機により混乱する東京で、不思議な少女 美嶋玲香 と出会う。
二人は東京湾の地下神殿へと辿り着き、そこに浮かぶ巨大な卵を見る。
その卵から、玲香の歌声に導かれるようにして生まれたのが、神秘の巨神 ラーゼフォン である。
綾人はラーゼフォンに乗り込み巨大兵器ドーレムを倒す。
しかし、その戦いで綾人は玲香を失い、自分を育ててくれた母親の血が青いことを知り、衝撃を受ける。
ラーゼフォンで東京を脱出した綾人は、そこで初めて世界の真実を知る。
東京こそが人類の敵 MU に支配されていたのだ。

綾人を導いたのは、MU に対抗する組織 TERRA(テラ)の諜報員 紫東遙 だった。
綾人はラーゼフォンに乗り、今まで暮らしていた世界と戦わなければならない。
彼の友人、隣人、母親のいる世界と……。


東京を飛び出して以降は、綾人が色々な人と出会って成長していくストーリーです。
MUやラーゼフォンや美嶋玲香の謎にもジワジワ迫っていきます。
具体的には、怪しげな登場人物達が詩的で意味深な口調でヒントを出してくれるようになります。
そして22話目くらいから種明かしが始まります。
私は自分なりに予想しながら観たので、答え合わせをしているような気分で楽しめました。

途中までは地球連合とMU、2つの組織の対立の話のように見えました。
しかし、地球連合のスポンサーであるバーベム卿という男の登場で、3つの組織の話に変化していきます。

バーベム卿の計画が物語の根本にあることと、計画の内容がラーゼフォンにまつわる伝承を再現することであることが判明すると、地球連合とMUとの対立構造も計画を叶えるために利用したことが分かってきます。
このあたりの「バーベム卿が全ての始まり(黒幕?)なのではないか?」ということが判明してきた辺りの話が特に面白かったです。


ストーリーは難しかったけど、最終話を観終わった時は達成感がありました。
ラストシーンの遙がすごく可愛くて印象に残りました。
見終わった時はちょっと放心状態でしたが、私はラストシーンの2人を見るために視聴したんだなあと思うとスッキリしました。

そんなふうに納得して観終わったものの、ストーリー概要を確認したい気持ちになったので、視聴後にはwiki系のサイトであらすじを見ました。
しかし、アニメ内で知らされていない情報や編集者の主観が入っている文章だったので、読んでもあまり楽しくありませんでした。
それに、アニメを観た時に感じた面白さがネタバレの文章を読んだ時には全く感じられませんでした。

他人にストーリーを教えてもらって内容を知るのは簡単だけど、
知ることも体験だとすると、実際に観るのとネタバレだけ読むのとでは体験の質が違うように思えます。
実際に自分でアニメを観ないと、本当の意味でストーリーに触れることはできないのかもしれません。

私は普段アニメを観る機会があまりありません。
それどころかアニメに対して偏見を持っていました。
「ストーリーがあるようで特にない物が多く、別の作業をしながら『作業用BGM』と称して『ながら見』するものらしい」と思っていたのです。
アニメは「流れている映像をなんとなく見る」楽しみ方をするものなんだと思っていました。

しかし、今回ラーゼフォンを真剣に観たことでアニメへの考え方が少し変わりました。
真剣にストーリーを考えながら観たことで「視聴するという体験」をしたような気分になり、達成感を味わえました。
アニメを視聴するということも体験になり得るのだと考えを改めることができました。

余談

お話の中で登場人物達は、ラーゼフォンの力があれば奏者が望む世界を手に入れられると言っていました。
なので私は、この物語は異世界転生や人生をリセットして0歳からやり直すストーリーにもなり得そうな話だったのかなと考えました。
でもそうはならず、綾人は自分が望む未来を手に入れるための要素だけを残して、
人生の途中からやり直す形になったかのようなエンディングでした。
そんなふうに綾人が今の自分の人生の途中からやり直したいと思えたのは、
綾人にとって美嶋さんとの思い出がアイデンティティと呼べる記憶だったからなのかなと思いました。

そう考えると、綾人がずっと描いていた美嶋さんとの出会いの場面は、自分の人生の過去の地点に帰ってやり直して来たいと思えるような鮮烈な記憶だったということになるのでしょうか。
そんな出会いがあった綾人は幸せな人ですね。
そしてそんなに大事な思い出を忘れさせられていたと思うと、とても可哀想だと思いました。
最終話の大人になった綾人が幸せそうでよかったです。

ですが、バーベム財団、地球連合軍、ムー組織の成り立ち?をよく分からないまま観終わってしまったのが心残りです。
でも綾人の望む人生には必要ない情報のような気がするので、分からなくてもいいやと思うことにします。
なんとなくだけど、最終話の綾人が選んだ世界にバーベム卿いなさそうじゃない……?

総括

ラーゼフォンとっても面白かった!